この番組では色んな学者から「時間」の紹介があったのですが、印象的だったのは「主観的な時間の長さ」について。
よく「歳を取ると時間が経つのが早くなる」なんて言いますけど、番組によると「√x倍」早くなるそうなんです(ルート・平方根って懐かしいですよね)。
具体的な数字にすると、
√2=1.414…、√3=1.732…、√4=2、…
√9=3、…、√16=4、…、√25=5、…
こんな感じです。
例えば、4歳を1とすると、
8歳→1.4倍、16歳→2倍、36歳→3倍、56歳→4倍、
時間の過ぎるスピードが速くなる、と。
児童福祉に置き換えると、月1で定期面接しても、幼児の1ヶ月の体感長さは、大人感覚の3〜4倍(3〜4ヶ月)に相当するわけだから、子ども視点では「全然来てくれない」感覚になるのは当然ということです。頑張って週1で会ったって「大人の1ヶ月くらい」間が空いている感覚なんです、子どもにとっては。
なんとなくを具体的数字にされると、リアリティが増します。
そして番組で、これを科学的に説明していたのが、脳神経科学者のデイヴィッド・イーグルマン。
詳しくは、いいサイトがありましたので、
https://www.lifehacker.jp/2013/07/130716daylonger.html
を参照いただきたいのですが、
要約すると、主観的な時間感覚は、脳が様々な情報を処理するプロセスの長さに影響されると。脳がそれほど多くの情報を処理する必要がない場合は、時間が早く流れるように感じ、逆に注意力が高まる状況、極端に言えば生死にかかわる状況に置かれると、脳内で記録する情報がいつもよりも多くなるため、その時間は実際よりも長い時間として記憶される、らしいです。また大人が時間を早く感じるのは、日常生活が馴染みのある情報で囲まれているからで、逆に言えば、新しい情報や新たな発見にたくさん触れている人は、体感する1日が長くなると。
なんとなく一流アスリートが体験する「ゾーン」、例えば野球でボールがスローモーションに感じるような状態とも通じる話しかもなぁ、と思いました。
逆に、苦しい時間は、たった数分でもとてつもなく長い時間に感じた体験って、誰しもあるのではないでしょうか。ライトな例だと、サウナに入った体感時間と実際時間のギャップとか。
この事から思うのは、虐待的環境下で暮らしていた子どもの主観的時間の長さは、決して時計の客観的時間の長さと一緒に考えてはいけない、ということです。
そして、年齢が低ければ低いほど体感的に感じる時間が長い→その後に残るダメージや及ぼす影響も大きい可能性がある、ということです。
LSWで過去を振り返る場合でも、低年齢になればなるほど当人の記憶は薄く、言語化できる体験は少なくなっていくと思います。
しかし、当人の体感時間の長さはむしろ逆で、語れない時代にこそ、同じ一年でもたくさんの主観的時間と主観的体験が詰まっている、ということを忘れずに思い巡らせて面接をしなくてはいけないな、と番組を観て以来より思っています。
箸休め的な番外編コラムでした。
ではでは。