LSWのちょっとかゆいところに手が届く「まごのてblog」

静岡LSW勉強会の管理人によるコラム集

【第50回】組織文化開発 ≒ 組織言語開発

メンバーの皆さま
 
こんにちは。管理人です。
 
いよいよ師走(12月)になりましたね。年末に向けて忙しくなってくる時期ではないでしょうか。
 
そんな時期で、気がつけばコラムを始めて約半年。この時期に【第50回】の節目の内容は何がいいのか色々考えていたのですが、考え過ぎてだんだん面倒になってきたので、あまり考えず思ったことを書きます(苦笑)
 
なので、今回もネットから。
 
株式会社「かえる」ブログ
「組織の言語」を作りましょう :組織文化の作り方
 
株式会社「かえる」は、組織開発コンサルタントの会社です。LSWの実践やチーム・組織づくりについて、簡潔にわかりやすくかつ大事な話が書かれているので紹介します。是非、サイトをのぞいて見てください。
 
 
●内容(一部抜粋)
〜組織文化とは人が共通して持つイメージの総体であり、その共有イメージを作ることなくして、組織文化は完成しないからです。
 
〜独自の組織文化を持っている企業に行くと、共通して気づくことがあります。それは、「その企業独自の言葉を使っている」こと。
 
〜そしてもう1つ、この「組織の言語」はなるべく「方言であることが重要です。他の組織とは違う「言葉」を使うことがポイント。なぜなら、そうすることで、他の組織とは異なる「我々らしさ」の意識が高まるからです。
 
こうしてみると、組織開発のコンサルタントは、「組織言語学」なんだろうと思います。その組織が作りたい組織文化を一緒に考え、それを定着させるための言語を作るということ。組織文化開発≒組織言語開発、なんだと思いますね。
 
 
●コメント
これは、面接および組織づくりの本質を射抜いていると思います。なぜなら、面接および連携でやっていることは「共通のイメージづくり」そのものだからです。
 
面接で、その人が言った言葉を大事にする理由はコレです。例えば、話し手が「食事」と言ったものを、聞き手が何気なく「ごはん」と言い直すようなことは日常会話でよく起こりますが、話し手のイメージは「食事」=「ごはん」とは限らないわけです。
 
さらに「おまんま食べる」がその人にとって自身の体験とリンクする表現だとしたら、「食事をしたんですね」と言い直すのは、すでにその人がイメージしているものから遠のいている可能性があります。で、そんな感じのやりとりが続くと、聞き手が自分の頭の中で勝手に描いたズレたストーリーやイメージを「共通のイメージ」と思い込んでしまうという事態が起きます。
 
これは、LSWの中のやりとりでも同じですし、LSWを行おうとする組織・チームにおいても同様です。外から持ってきたマニュアルや本の知識では、言葉を読んでいても同じでも、実はチーム内で描いているイメージはズレている(イメージすら出来ていない)可能性があります。なので、支援者同士の事前の話し合いが非常に重要なんだと思います。
 
 
これはLSWに限らず、組織文化やチームワークを築く上では共通しているプロセスと思います。ですが、毎回毎回ゼロからスタートしていては、他組織との連携にばかり時間が取られて仕方がない。
 
そんな視点で、面白いのが元サッカー日本代表監督の岡田武史氏がオーナーを務め今治FCの取り組み。
 
サッカー好きな方はご存知の「岡田メソッド」。一言で言うと、日本サッカー「共通のイメージづくり」の野望です。例えば、内容はこんな感じです。
 
〜独自の用語を使っているため少し説明が必要ですが、例えば、我々が規定するパスの種類のひとつに、「シャンク」というものがあります。試合中にシャンクを何本入れられるか。その本数をKPIとして、シャンクの本数が増えればより進歩していると見なしています。
 

〜言葉というのはすごく大事で、例えばエスキモーには白を表す言葉が10種類くらいあるんですよ。なぜかと言えば、雪の白さの違いによって翌日の天候を予測できるからです。

〜僕らにはただの白に見えても、エスキモーには「明日は天気が荒れて危ない」とわかります。必要だから言葉がある。例えば、スペインでは横パスで揺さぶってディフェンスがずれたときに、そのギャップを突いて斜め方向に出す縦パスと、単に縦方向を狙う縦パスとで言葉が違います。

〜一方、日本サッカーには縦パスという言葉しかありません。我々にはそこまで細やかな考えがないから必要としていなかったということですが、新たな価値観をつくるため、既存の考えと区別するために言葉を考えているんです。

 

これって「組織の言語づくり」そのものですよね。そして岡田さんは「守破離」という日本の「道」の修行のプロセスを絡めて語っています。端的に言うと、実は自由だけでは自由な発想は生まれないと。

 

日本人は「型」に捉われるけど、本来「型」は守るだけのものじゃない。まずやってみて、あえて破って、そのから離れて新たなモノを構築するための「材料」にしか過ぎないわけです。

 

だけど、まずやってみるモノ、考える材料そのものが無ければ考えようがないですよね。そう言う意味での「型」は必要だと。

 

参考)今治FCのHP、岡田武史インタビュー 
 

 

児童福祉現場に置き換えると、よく「国のガイドラインにはこう書かれているから」とかトップダウンの材料に捉われ過ぎたり、指示待ちで思考停止に陥っていることはよくあると思います。

 

大事なことは、守らなければいけない事は守る、けれど、そこに書かれていることはどう言うことなのか、まずはその組織の人たちで話し合って共通の言語に翻訳して「共通のイメージをつくる」ことですよね。イメージがなければ実際に動けませんし、応用が利かないので、全く現場じゃ役に立たない机上の空論で終わってしまうわけです。

 

僕は個人的に「LSW」と言う言葉も「共通のイメージづくり」の材料の一つに過ぎないと思います。別の言葉、別の切り口で、LSWが大事にしている本質の内容が共通理解できれば、それで何にも問題ないわけで。

 

なので僕は面接でも「心理検査や見立てと言うのは考えるの材料の一つなので、それを聞いて感じたこと、思ったことを率直に教えてください」と言うような事を、子どもに対しても大人に対して説明しますし、面接においては心理検査や見立てもやりとりの「ネタ」くらいの扱いをしています。大事なのは、目の前の人とのやりとりやイメージの共有なので。

 

その組織ごとに歴史文化は違いますので、LSWの名称が馴染めばそれで良いし、別の共通言語の方がしっくりくればそれでいい。言葉に捉われず、本質的に何を大事にし、何をしようとしているのか、そのことが話し合える環境づくりが各地で広がっていくと、面白いことになりそうでワクワクしますね。

 

ではでは。