【第59回】セロトニン・ドーパミン・ノルアドレナリン
メンバーの皆さま
こんにちは。管理人です。
段々とインフルエンザ、流行ってきました。
また来週から冷えるみたいですし、気がつけば「冬季オリンピック」まで2週間ちょっと。
いよいよ真冬到来って感じですね。寝不足と体調にはお気をつけ下さい。
で、今回は、
「バイオ(生物)」
/
「サイコ(心理)」ー「ソーシャル(社会)」
モデルでいう生物学的な話を。
で、それぞれの関係のイメージはこんな感じ。
心身の覚醒って、薬になるとヤバイ感じになっちゃいますけど、悪い事ばかりじゃなくて、例えば、 勝負がかかったスポーツとか、他には「火事場の馬鹿力」 なんて言いますけど、 危機場面で脳のリミッターを外して身体能力UPするなんてことに も繋がりますし、「頭が冴える」「頭の回転が良い」 状態というのもある程度の脳の覚醒は必要です。
なんでもそうですが、大事なのは「ほどほど」の加減。しかし、 セロトニンが足りないと…
なので、僕が声を大にして訴えたいのは、 まだまだセロトニンの補充が十分じゃなくて、 ドーパミンもノルアドレナリンも全然安定的じゃない状態で、 過酷な過去を扱うようなLSWをやったら、 そりゃ荒れたまま落ち着かなくても仕方ないでしょう、 という事。
じゃあ、セロトニンを補充するためには、 どうすれば良いかと言うと、
はい、いわゆる「規則正しい生活」を送る事なんです。運動は「 リズム運動」と言うのがポイントで、 激しく心拍数上がっちゃうヤツはダメだそう。 散歩とか軽い体操とか、 出来ればトントン左右交互に刺激が入るヤツが良い。
もちろん「何か支援の突破口を」という気持ちはわかりますが、 いきなり過去を扱うんじゃなくて、 そんな大変な喪失体験をしてきたんだから症状が出る( 落ち着かない)のは当たり前だ、 という現在の自分の心身に起こっている事をしっかり説明してあげる方が( いわゆる「心理教育」)、 安心感や落ち着きを与えてあげられると、僕は思います。
【第46回】愛着形成とオキシトシン
を見ていただくとして、要約すると、こんな感じ。
不安な時に「よしよし〜してもらって安心」と言うのは、 もともと日常的なスキンシップや非言語の応答・同調行動で「 オキシトシン」が分泌されて「幸せ」 という事が繰り返されて生理学的にもそのシステムが獲得されてい るから、触れられて安心するわけです。
しかし、
「情緒的交流」 って良く言いますけど、スキンシップや視線の応答など非言語のペースを合わせてもらった経験が過去に乏しい( もしくは発達凸凹で刺激の受け取り上手くなく結果として応答が合 わない)ので、オキシトシン分泌されない→ なかなかイライラが収まらない、という子が社会的養護ではゴロゴロいますよね。
なので、乳幼児期にオキシトシン・ システムを獲得出来ていない子への支援は、 不快のイライラ場面でヨシヨシなだめる以前に、 日常生活で視線合わせて挨拶するとか、微笑み返すとかの応答で、 普段からオキシトシンが出るような関係性が築けているかで、 ほぼ勝負は付いているわけです。
よく話題に上がる「子どものアタッチメント(愛着)」問題は、 僕はこのように理解しています。
なので、児相職員として家庭分離や措置変更時に、 リアルタイムで喪失体験を支える立場とすれば、 現実にそうなる限られた時間の中で、 その子が元々どの程度オキシトシン・ システムを獲得できていそうなのかを見積もり、 いかに自分との面接や検査のやり取りでペースを合わせオキシトシ ンが出る(安心感を醸し出す)関係性を構築できるか、 の勝負になるわけです。
つい先日、僕が数年、担当している在宅の子が交通事故が骨折して入院したんですね。で、今年度から担当替わった10年選手の福祉司さんから「お見舞いに行こうと思うんだかど、管理人さん一緒に行ける?」と聞かれたんです。
入院は術後二日だけだって言うんで、さすがに調整できなくて「さすがマメですね。助かります」ってお願いしたら、「いやいや昔、心理に面接お願いしてて全然会ったことない子を一時保護しに行ったら1日で逃げられたことあってさ。恩を売るわけじゃないけど、いま会っておかんと自分が後々困るだけだから」ってサラッと言うんです。
関係づくりってこう言うことですよね。毎日顔会わせなくても「あの時、来てくれた」「苦しい時に側に居てくれた」と言う、小さい積み重ねが結局、物を言うんです。
昔、知り合いの女の子が恋愛トークで「女子には絶対外しちゃいけないポイントがある。そこさえ押さえてくれれば、普段ある程度いい加減でも女子は大丈夫」と語っていたことがあって、その子が日本の女子代表ではないですけど、当時は随分肩の荷が下りたと言うか、目から鱗だったことを思い出しました。
サプライズとかギャップを作ろうとして、空回りする男子は後を絶たないと思うんですけど、流れやポイントを押さえているか外しているかどうかは「関係づくり」だなぁ、とふと思いました。
ちょっと話を本題に戻すと、LSW実施時の不安って、過去の喪失体験を思い出す「揺れ」 をどう見立てて、どう支えるかということになると思うのですが、 本人自身が心の揺れを抱えられる程度や耐性的なものは、 もしかすると日常生活の「セロトニン」、関係性での「 オキシトシン」という切り口で整理できるかもしれませんね。
ただし、過去の喪失体験に関係して「トラウマ」があるのか、 もしあるなら今の安全感をどの程度脅かすのか、 という事も重要なポイントになるので、
LSW実施時の揺れと収まり具合は、
「喪失体験のインパクト」×「本人の受ける器」
さらに、×「それを支える支援者チームの器」
=マグニチュード〇〇、なんてイメージを持っています。 あくまでイメージです。
ここ数回のコラムは「チーム」の話しが多めになっていましたが、やはりLSWの本人アプローチを考える上では「アタッチメント」 「トラウマ」は外せない要素だと思うので、 今後も少しずつ取り上げていきたいなぁ、とは思っています。
ではでは。