LSWのちょっとかゆいところに手が届く「まごのてblog」

静岡LSW勉強会の管理人によるコラム集

【第106回】受験勉強とLSW

メンバーの皆さま
 
お久しぶりです。管理人です。
 
ようやく各地で梅雨入りで、じめじめした季節になってきましたね。
 
僕はというと、多くの方は昨年受けた「公認心理師試験」を諸事情により今年受けるので、現在、受験生やってます。
 
試験を控えるって言うのは、早く終わって楽になりたい気持ちと、試験までに勉強できる時間がどんどんなくなっていく不安が入り混じる複雑な状態に置かれますね。
 
モヤモヤした感じのピークは、身分も定まっていない「大学浪人」時代だったんだろうなぁと思い出すアノ頃から既に20年近くの月日が経っていることにもビックリですけど。
 
そして、8/4の試験本番を約1ヶ月後に控え、未だ受験票も届かず、受験会場すらわからないので、ホテル予約して前泊するのか当日行くのかも決められない日々が続いています。
(受験する職場の同僚も「まだ届いてない」と言っていたので、きっと条件は皆一緒のはず…)
 
こんなモヤモヤっとした中、通勤時間の合間に受験勉強をしていまして、気がつけば6月はブログ放置…
 
言い訳をすると、一応、心の何処かで「ブログのネタ無いかな」と思いながらテキストを眺めていました。(そう思うと少し楽しい気分で読めますし)
 
やはり、公認心理師試験のテキストや問題集に「ライフストーリーワーク(LSW)」は出てきませんです、さすがに。
 
公認心理師試験で求められる知識は、広く浅くのようで、例えば児童福祉領域で求められる知識レベルは「通告義務とは?」児童福祉施設とは?」という感じ。当然、LSWはマニアック過ぎます。
 
ただしかし、広く色んな分野のことを勉強すると、自分があまり注目しない分野の知識から新鮮な気づきが得られるのも事実。試験でもなければ、なかなかこういう体験は出来なかったかもしれないですね。
 
 
そんな中から、私がLSWについて考えさせられた、ある問題集の練習問題を一つ紹介。
 
 
答えは「⚪︎」か「×」の2択で考えてください。
 
 
 
 
 
【問題】
キャリア・カウンセリングの目的は、問題行動の治療や改善ではなく、よりよい適応と成長、個人の発達を援助することである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
【答え】は…
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「⚪︎」です。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
僕もキャリア・カウンセリングについて深くは学んだ事はないんですけど、この問題自体は、それほど悩まずに答えられるかなと。
 
ただ、この問題を解いた時にキャリア・カウンセリングの部分を「ライフストーリーワーク」に替えたらどうなる?と、ふと思ったんですよね。
 
 
 
こういうことです。
 
 
 
 
 
【問題(改)】
ライフストーリーワークの目的は、問題行動の治療や改善ではなく、よりよい適応と成長、個人の発達を援助することである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
このように試験問題として改めて聞かれたら、「×」と答える人はあまりいないかもしれません。
 
 
 
しかし、現実の臨床場面において、里親宅にいる子どもや施設入所児に対して、LSWの実施をするか否かという検討が行われる場合はどうでしょうか。
 
子どもの成長のため、子どもの将来のより良い適応のため、子どもの人生のためという議論になっているでしょうか。
 
子どもが問題行動を起こすのは、自身の生い立ちや親の存在があやふやだからではないか、だから落ち着かせるためにLSWが必要だ/もっと荒れてしまうからLSWはやめて欲しい、そんな話しの流れって割と起きがちだと思います。
 
もちろん、何でもかんでもLSW実施する事が良い、実施しない事が悪いということではありません。条件やタイミングは何が適切かということなのですが、前提として【問題(改)】のような問い、「なぜ」「誰の何の為に」実施するのか、そこ目的って非常に大切ですよね。
 
 
 
受験勉強でいくつも問題を解いて気づいた事ととして、キャリア・カウンセリングに関する問題では「キャリア・カウンセリングと通常カウンセリングの違い」について問う内容がとても多いんですね。
 
少し調べて見たところ、キャリア・カウンセリングの幅の広さは「面接の三態様」(育成面接/開発面接/治療面接)として整理できるようで、キャリアカウンセラーは開発面接を主としながら、本人の持つ課題、問題から両隣の面接を求められることがあり、自分が扱える領域をきちんと認識することが必要であるとされているようです。
 
参考)キャリア形成支援とキャリア・コンサルティング
 
 
 
では、LSWと通常カウンセリングの違いって何でしょうか?
 
支援者は面接で何を主として扱いながら、本人の持つ課題や問題から何を同時に扱うことが求められるのか。
 
色んな考え方があるとは思いますが、傾聴で自己への気づきを促す通常カウンセリングと比べて、LSWは本人が知らない事実を支援者が調べたり伝えて共有していく点が、明らかに通常のカウンセリングとは違う特殊なところかなと思います。
 
でも、じゃあ何をどこまで扱うのかと言う点においては、本人の意志や同意がとても大切なので、カウンセリング的に聴くことが非常に求められる。
 
で、本人のニーズ的にはLSWで扱おうとする軸は何なのか、その時にLSWを難しくさせる別の要因は何なのか、この辺りを整理して、自分の扱える領域でなければサポーターを増やす。
 
LSWと言うと、自身の生い立ちや過去を振り返ること全般をイメージする人は多いと思いますが、何を目的に、何の内容を扱うのか、それによってLSWで扱う範囲は変わって良いわけで、何でもかんでも出生から現在まで洗いざらい全てを振り返らなければならないということはないと思います。
 
 
 
これ受験勉強も似てるかなぁと思いまして、例えば、テキストの一番前から最後まで全部順番にやる必要は全然なくて、まだ覚えてないところ苦手なところを重点的に勉強すればいい。
 
むしろ、わかってるところ何度やっても仕方ないわけで。勉強してる気にはなりますが時間がもったいないですよね。(ただ自信をつけるという意味では重要かも)
 
そして目的は試験に合格する事ですから、そんなに一つ一つを深掘りする必要はなくて、各分野の要点だけ広く押さえてチェックしておきたい。
 
ただ、自分が何を知ってて何を知らないのか、それすらわからない場合は全体を一通り眺めてみて「自分はここが苦手なんだ」と自分について知る作業がまず必要な段階もある。
 
試験1ヶ月前で、その「まず」の段階だから焦るわけですけど、今の自分には何が必要なのか、何を知りたいニーズがあるのか、それは何の目的なのか、そんな問いってLSWに限らず大事だなぁと思ったという話でした
 
 
試験勉強がんばります。
 
 
 
ではでは。