【第122回】妄想EBPM的養育支援システム
メンバーの皆さま
こんにちは。管理人です。
GWいかがお過ごしでしょうか。
僕は12時間のドライブを経て、気仙沼にいます。
子どもを連れて妻の実家へ帰省ですね。
普段会えない[じいじばあば+ネコ]に息子は大興奮。
僕にとっての気仙沼は、日常を忘れながらリラックスできる、 貴重な非日常の世界。
LSWとは直接関係ないかも知れませんが、 LSWが必要な社会的養護に来る前に出来ること、 としてお付き合いください。(いつもながら、 こじつけ感がありますね)
気仙沼の話しに戻ります。
昨日、息子が生まれた病院脇を通ったんです。 息子が生まれたのは5年前。
実は気仙沼病院は老朽化と耐震で、4年前に別の場所に建て替え済 み。 あと1年出産がズレていれば新築ピカピカな病院での誕生だったわ けですが、言い換えれば、 旧気仙沼病院のラストイヤーチルドレンと言えるでしょうか( なんじゃそれ)。
当たり前ですが、 患者とその家族で売り上げが成り立っていたんでしょうね。 お店も移転しただけかもしれまけんが、自分も僅かながらお世話に なっただけに寂しさや虚しさを感じられずにはいられませんでした 。
気仙沼は、絵に描いたような人口減少と過疎化が進んでいる地域です。
本題はここから。
表題「EBPM」って何だ?と思った方も多いと思いますが、 出かける前に読んでいたのがコレ。
business leaders square wisdom
『EBPMとは?行政イノベーションの事例や重要性を解説』ht tps://wisdom.nec.com/ja/ feature/government/2020032601/ index.html
EBPM:Evidence-Based Policy Making
・統計データや各種指標など、客観的エビデンス(根拠や証拠) を基にして、政策の決定や実行を効果的・効率的に行うこと
だそう。
これまでは政策立案で民意を反映しようとしても、政治家に近い「 大きな声」や政治家に「理解しやすい声」 を中心に影響が強くなりがちだった、と。
よく分かりますね。大きな声では言えないですが、 僕もそんなに選挙に行ってないですし(苦笑)
最近「日本女性の二人に一人は50歳以上」 というニュースを耳にしましたが、日本の総人口も、 選挙に行く年齢層も、 高齢者に比べて圧倒的に若者は少ないですよね。 子どもは選挙権ないですし。
なので、子育て支援、養育支援の必要性は誰に聞いても「 必要ない」と決して否定されるものではないものの、 政策に目に見える民意、耳に聞こえる民意を反映すると、 どうしても子育て支援は積極的一番手にはなりにくい。現役の、 特に乳幼児期の子育て世代、もしくはその予備軍(若者) は全人口の少数派だから。
しかし、 これまではこのような少数派の人たちの民意を汲み取るためのシス テム構築の予算・スピード・人材の確保が難しかったが、ICT( information and Communication Technology:通信技術を活用したコミュニケーション) の普及に伴い、それが解決しつつあると。
それをEBPM(Evidence-Based Policy Making)と呼ぶんだそうです。
ほー、なるほど。
イービーピーエムって、イレブンピーエムと語呂が似てるな。ん、 イレブンピーエムってなんだっけ?
いや、全く知らんし、こんな番組。 1982年生まれの僕が観てた可能性ゼロではないけど、 番組終了時で7歳8歳ですから、さすがに観てないでしょ。
じゃあ、頭に残ってた「イレブンピーエム」って何だとは思いつつ、 結局わからないので、EBPMの話しに戻ります。
そう、EBPM。
これは決してSF的な未来の夢物語なんかじゃなく、今の現代社会 で現実化しているらしいですね。
マジっすか⁈ 日本でも実施例があるですね。
これだけでも、2〜3年前の新型コロナ蔓延前は、想像できなかっ たので(計画は着々と進んでいたはずですが)、短期間に時代が随 分進んだものだなと、個人的には驚きを隠せません。
では、さらに、この先はどうなるでしょうか。
インターネット注文って、 ごくごく一般的な購買方法になりましたが、 ネット上で勝手に関連商品の広告が出てくることって、 ありません?
ネットニュースの関連記事もそうですね。 YahooとかGoogleとかも、 自分の好きな分野のニュースばかり集めてきますよね。
これって、過去の検索履歴から人工知能(AI) がその人が興味ありそうなものを推測して提案しているんですね。
で、これと同じことが、 教育分野で近い将来起きてくる可能性があると。
そして、蓄積された個人データ( 何に質問したとか何に間違いやすいかの傾向)から、人工知能( AI)がその人の躓きやすいところを予測したり、 オススメ学習方法を提案することって、現時点の民間企業の技術力 なら、すでに可能なようです。
ただ過去の類似商品をオススメするんじゃなくて( それじゃあ服は売れません)、 何十万人何百万人の購買履歴のビッグデータを解析してディープラ ーニング(自主的な深層学習)し進化し続けるオシャレ番長AIが、 その時々の最適解を提案してくれるわけです。
で、ここからは完全に僕の妄想です。
この技術がもっと一般化して、 ビッグデータに基づくAIが解析が進めば、
[養育不安感・困難感 × リアルタイムの気持ち]
の両方を考慮して、 AIが対応方法や支援サービスの提案をしてくれる時代も全くない とは言えませんよね。
もっと言えば、アメリカでは「ビッグ・ファイブ理論」 を性格特性に関する数百万人レベルの大規模調査が行われていたり 、トランプ元大統領が選挙戦の時にビッグファイブ理論を使った分 析により州ごとにメッセージの伝え方を変えていた( 行動マイクロマーケティング)ことも公表されています。
ビッグファイブ理論とは、人間の性格は5つの特性(外向性、神経症傾向、経験への開放性、調和性、誠実性) の組み合わせによって説明できるという理論。五角形のグラフで、 どこが強い弱いといった組み合わせです。
それぞれ、
○外向性(⇔内向性)
対人関係の量と強さ。活動水準、刺激希求、喜びの能力。外向性が高い人は社交的で、活動性や積極性が高く、高覚醒状態(テンション高め)を好む。外向性が低い(=内向性が高い)人は、控えめで過剰な刺激を避け、物静かで注意深く、一人でいる低覚醒状態を好む。
○神経症傾向
環境からの刺激やストレスを引き起こす刺激に対する敏感さ、 不安や緊張の強さ。不安のほか、抑うつ、敵意、衝動性、自意識(劣等感)、傷つきやすさ等で構成される。神経症傾向が低い人は、リラックスしていて、安定感があり(感情的でない)、ストレス耐性が高い。
○経験への開放性
知的好奇心の強さ、想像力、独創性、馴染まないものに耐えられる力。開放性が高い人は、自分の感情に価値を置き、心が広く寛容さがある(ルーズでもある)。開放性が低い人は、興味の幅が狭く保守的で、伝統や決まったやり方に従うことを好む。
○調和性
共感性、優しさ。思考ー感情ー行動における対人関係の質問。調和性が高いと、他者への信頼感があり、人のために尽くしたり(利他性)、人を許したり、謙虚さや無邪気さを持っている。調和性が低い人は、疑い深く皮肉的、攻撃的で競争を好み、自己中心的で孤独を好む。
○誠実性
目標志向行動における気構えと持久力。自己統制力や達成への意志、真面目さ、 責任感の強さ。慎重で塾考型。倫理的にしっかりしている。誠実性の低い人は、いい加減で怠け者、あわてもので意思が弱く、快楽的な行動を好む。
とのことで、これらはどれが高いことが良い悪いではなくて、人間の性格は大きくこの5つの要素の組み合わせで説明できる、という理論です。
まあ、 おそらく不安定型愛着やトラウマを抱えている人が多かったのでは ないかと僕は推測しますが。
この辺りもビッグデータ化されれば、
[親の性格特性 × 親の器質的特性 × 実際の養育不安感・困難感 × リアルタイムな親の気持ち…]
と言った、 あらゆる要因をデータ化してAIが解析して対応してくれる… となったら?
親自身の愛着パターン(回避系、過干渉系)によって、子どもへの適度な関わり方や距離感のアドバイスができたり、性格的に家族 や親族サポートを頼れそうかとか、外部の養育支援をどれくらい積 極的に活用しそうかとか、そのあたりだって解析可能になりそうですよね。
いま、人間がアナログでやっている「見立て」ですから。
もっと言えば、現在は面接や質問紙によって確認していることも、 将来的にはウェブ回答によるデータ化が可能ですし、現在の脳科学 で精神障害や発達障害の脳の不活性部位がわかりつつありますから 、 近未来的には脳波測定さえできれば特性理解にウェブ回答すら必要 なくなることだってありえます。
さすがに、国民全員の知的能力まで測るのは倫理的にアウトな感じがしますが、 生育歴や学歴でその辺もマイルドに配慮されて、みたいな。
なんか凄いことが起きそうな気がする反面、怖い気もしますね。
ただ思うに、マイナンバーカードの普及ですらこれだけ揉めるわけですから、「 こんな個人情報がデータ化されるなら、行政には相談したくない」 と関わりを拒否したり、 澄まし顔で虚偽回答をする母親もきっと出てくるでしょう。
時代はどんどん変わるので、どんな支援システムを構築しようと、 そこに上手く乗れない人、こぼれ落ちる人は、 いつの時代も一定数いると思われます。
このように、EBPMは民間技術的には可能ですが、 行政的には壁が高すぎて22世紀でも実現不可能ですと、 わかりやすくぶった斬ってくれるのが、最近TVに出まくっているイェール大学の成田悠輔教授。
↓
【参考】成田悠輔の半熟仮想切り抜き
内容も面白いし、話術も非常に参考になります。
あと声質がズルイ。これは1つの才能ですね。
成田氏が、講演の最後に、
「22世紀型EBPMは忘れた方がいい」
「 クリスマスでサンタさんに壁を壊してくれる巨人をお願いしたい」
ただ、僕の働く地域は「デジタルスマートシティ宣言」していて、 日本や世界にモデル発信とか言ってるので、ワンチャンないかな、 というのが僕の更なる妄想。
さらに、 虐待に至る前の養育支援である虐待予防をガンガンした方が、 虐待ケースの減少と経済的・医療的・ 支援的コスト削減になることは算出しなくたって明白。
ロジック的にはそうなんですけど、 やっぱり行政の壁はかなり厚そうなんですよね〜。
果たして、そんな"進撃の巨人"の出現が望む未来なのかと言われたら、正直わからないです。
何の話かよくわからなくなってきましたが、唯一わかったことは、 「リラックスした非日常はとても創造的で妄想的になれる」 ということです。
コラム執筆中は、子育て完全放棄でしたし(苦笑)
こんなことはしばらくないと思うので、 GWの間もう少し非日常の妄想を楽しもうと思います。
最後までお付き合いありがとうございました。
GW空けて、日常生活に戻ったら、 ボチボチ本の紹介の続きも書いていきます。
ではでは。