LSWのちょっとかゆいところに手が届く「まごのてblog」

静岡LSW勉強会の管理人によるコラム集

【第129回】Just The Two of Us進行と面接の非言語性

こんにちは。管理人です。

 


前回まで割と真面目な会が続いたので、箸休め的な雑談コラムを。

 


先日、ぼーっと「関ジャム」観てたんです。

 


今揺れに揺れてるジャニーズ事務所所属の「関ジャニ∞」が音楽アーティストをゲストに呼んで音楽マニアックトークをするテレ朝系列のアノ番組です。

 


僕自身、音楽はもっぱら聴く専門なんですけど、この番組は素人がなんとなく聴くだけじゃ絶対気づかないような「音職人」のこだわりや細かい技術をわかりやすく紹介してくれるのが面白いんですね、僕的には。

 


で。今回のテーマは「お酒の名曲特集」。

 


例えば、歌詞の中に登場する酒銘柄が人物像を想像させたり、お酒の種類や量の表現から背景を想像させたり、歌詞では酒的フレーズを一切使ってないのにテンポやコード進行の雰囲気でほろ酔い気分を想像させたり。

 

 

 

その中で、僕に刺さったのが、

 


Just the two of us進行(別名、丸サ進行)

 

 

 

アメリR&Bの名曲「Just the two of us」で使われているコード進行だそうで、椎名林檎の「丸の内サディスティック」で使われていることから、丸サ進行とも言われている、と。

 


何やらメジャーコードとマイナーコードが交互に繰り返される浮遊感が、アダルトな大人の雰囲気にさせるそうですね。

 


言葉で雰囲気を説明するのは難しいんですけど、名曲J-POPで言うと、

 


「つつみ込むように...」(MISIA

「接吻」(ORIGINAL LOVE

A Perfect Sky」(BONNIE PINK

 


最近だと、

「愛を伝えたいだとか」(あいみょん

 


脱力感+アダルティー+カッコいい感じ。そんな感じの曲調を生み出すコード進行、それがJust the two of us進行とのこと。

 

 

 

で、話を戻すと、関ジャムで紹介された

 


『夜を使いはたして feat.PUNPEE』('16)

 


はSTUTS(東大修士卒のトラックメイカー)が有名になった曲とのことで、ただJust the two of us進行を使ってるだけじゃないと。

 


この曲はJust the two of us進行の中で、浮遊感や不安定感を出すために半音ズラされている音ひとつを、あえて半音戻してメジャーなコードにすることで、「日常感」を演出しているとの解説。

 


ハッキリ言って、超微妙な差ですよ。

 


でも、その微妙な差が何度も何度もループされて蓄積されることで曲全体の雰囲気や印象が変わってくると。

 


音楽素人の僕からすると、ビックリするほど微妙な調整なんですが、確かに聴くと違いはわかるんです、素人でも。

 

 

 

 


で、ふと思ったんです。

 


もしかしたら、普段の面接や研修でやってるやつと似てるかも、と。

 


どういうことかと言うと、僕に限らずコミュニケーションを取る人間の多くは、「言葉の意味」だけでなく、その言葉がどのような表情でどのような口調で語られたか、その非言語的な意味を加味して、この人が伝えようとしていることは何なのかを判断してますね。

 


最たる例は、赤ちゃんの泣き声、泣き方からお腹減ってるのか、おむつ変えて欲しいのか察知するお母さんの応答です。他人では判断できないような泣き方の微妙な差異を敏感に嗅ぎ分けますね。

 


僕たちは、そう言った話し方の微妙な変調や音の高低などなど、リズムやスピードの違いや変化から相手の感情を読み取ります。発している本人は無意識でも、受け手側はその変化に気づき、その意味を汲み取る。

 


そうして相手の感情や思考の状態を想像し、そのテンポに合わせてうなづき、全体的なリズムや繰り返しの流れに合うような相槌を打ち、相槌による「うん」とか「あぁ」とか一瞬の発声に高低長短さまざまな変化をつけて、相手にコチラの感情を伝えようする。

 


これを音楽的に解説するならば、○○進行でこのような感情を表現している時に、あえて半音ずらして、このような気持ちを伝えようとした、なんて事になりませんか。

 

 

 

面接で「子どもになんて言って聞かせたらいいですか?」と聞かれることって本当に多いんです。そんな時の僕なりの答えは、

 


「関係性によりますね」

 


なんです。同じ言葉でも、誰に言われるかによって、響き方って変わるじゃないですか。

 


なので、まず子どもにどのような姿になって欲しいのかを確認し、そのことを子どもに伝えるには、誰からどのように伝えるのが良さそうか考える。

 


言って聞かせるって発想の時点で支配関係、コントロールしよう感が滲み出てるような気がしますし、即効性や効率性を求めすぎていて、子どもの気づきや主体性を見守って育てようと言う感覚に乏しい感じしますよね。

 


なので、どのような関係ならば、どのような言葉に耳を傾け、響いてくれそうなのか。その関係を築くために日々なにが出来そうなのか、そんなことを一緒に考えます。

 


その一つが、普段の話し掛けのトーンや表情、応答リズムと言った非言語的メッセージの伝え方ですね。

 


単純に言うと、穏やかな気持ちと表情による、低くゆったりとした声かけです。

 


そんな安心感を相手に与え、信頼関係を築く対話コード進行の王道パターンがあるのだとしたら、「Just the two of us進行」のような呼ばれ方がされるのかもしれない。

 

 

 

そんなことを、何となく思いつつ、

 


もしかして普段面接で、普段研修で伝えていることは、相手にとっては「Just the two of us進行のアレンジ」みたいなマニアック中のマニアックな技術の話しかもしれない、とふと戒め的に思いました。

 

 

 

以上、そんな番組感想コラムでした。

 

 

 

ではでは。