【第81回】LSW実施前の「ダビスタ風」アセスメント
メンバーの皆さま
こんにちは。管理人です。
気づけば、もうGW直前ですが、皆さまの新年度スタートはいかがでしょうか？
僕は、年度当初のバタバタ具合から、ようやく徐々に日常業務のペースに戻ってきたかなぁ、というところです。
そんなこんなで、コラム更新も滞っていたわけですが、忙しくて書けない間にも［書きたいネタ］はどんどん増え続けるので、次のコラムで何を書くのか正直迷っていまして…。
色々迷った結論としては、年度始めですし、今後のコラムの目次・総論的（になるといいなぁ）な内容を今回は書くことにしました。
それは「LSW実施前のアセスメント」について。
前回コラムでは、幼児期の語りの中で「感情を扱える」のが治療的だし理想形はあるけれど、
〜今回は記憶イメージと感情体験の変化を主に扱ったが、語りの重要な要素であるストーリー性やまとまりという観点からの分析も、今後検討されるべきであろう。
〜今回の結果はあくまで一般大学生で行ったものであって、そのまま臨床群を理解する手だてとして用いるのは危険である。 しかし、幼児期記憶の危険な側面も十分踏まえつつ 、今まで肯定的に扱われることの少なかった幼児期記憶を、その人の生き方を支える方向で臨床に活かす何らかの手がかりを探っていくことへとつなげていきたい 。
と、2005年にすでにLSWの大切さと難しさが指摘されているのですが、「で、危険な側面って何を踏まえたらいいの？」という所はいまだに未整理でみんな苦労している所ではないか、ということを綴りました。
で、前回コラムで、管理人的な臨床感覚での「LSW実施アセスメントpoint（情報収集と査定）」を木の絵のイメージにのせて簡単に紹介したのですが、今回はそれについて、もう少し詳しく。
それがコチラの5点。ちょっとキレイに描き直してみました。
要約すると、「子どもの状態」についてのアセスメント。何がその子の感情体験の語りを難しくしているか、生い立ちと現状から考える、ということ。
例えば「気持ちの言語化が難しい子ども」がいたとして、感情を感じたり言語化する力がそもそも育っていないのか 、それとも感情を語れる力が育っているけど一時的に持っている 力を発揮できない「状態」や「環境下」にあるだけなのか 。当然その違いによって、全然フォローの仕方が異なりますよね。
もっと言うと、LSWで一番心配するのが実施後に荒れないかということだと思うのですが、ソレが何から来そうなのか 予測や仮説がいくつ想定されるか。
例えば、蓋をしていた侵入的なトラウマ体験を想起することで「安全感」が損なわれてしまいそうなのか、過去の喪失やネグレクトに対する「怒り」の感情がフツフツと沸いてきそうなのか、それとも現在の状況（家族交流が無いとか）に対する不満・寂しさ・イライラと言ったフラストレーションを自分だけでは抱えきれなそうなのか。
それを予想するには、まずその子の生育歴をなるべく丁寧に追える情報を集める。そして、現在の子どもの状態・特徴・価値観から、その子が生い立ちの中でどんな体験を、どのような受け取りで積み重ねて、現在まで育ってきたのかを想像してみる。
つまり［客観的な情報］と［現在の子どもの状態・特性］と現時点で語りうる［主観的な情報］を集める。そして、それらの「点」在する情報の隙間をつなぐ［体験・想い］を、本人が語りきれない「線・面・立体」的につながるストーリーを、まず支援者が想像してみる。
そして、あたかも本人になりきって追体験するように主観的なストーリーを想像してみる「手がかり」として僕が重要視しているのが、上の5つのpoint
・アタッチメント
・発達障害
・忠誠葛藤（家族関係、人間関係）
・喪失体験
・トラウマ
です。物事をまとめる時には「3つまで」が原則なのですが、現時点での僕の力では「5つ」に絞るのが限界でした。
ちなみに、これまでのコラムでは主に扱ってきたのは［喪失体験］［アタッチメント］についてですが、気持ちの自由な表現を阻害する［忠誠葛藤］にはこれまで触れてこなかったですし、感情コントロールや感情抑圧を扱うには、やはり［発達障害］［トラウマ］は外せない。
一つ一つのトピックについては、今後のコラムで少しずつ扱っていきたいと思います。しかし、冒頭に触れたように5点に絞ったのは「子どもの状態」についてのみですが、LSWで気をつけるのはそれだけではないですよね。
個人的な印象としては、これまでコラムは「子ども自身」のことよりも、子どもを支える【支援者】や【チーム】のあり方・心構えという内容が結構多かったかな、と思います。これも外せない大事な要素の一つ。
話題を広げて申し訳ないですが、「個人内／担当者内／組織内」の抱える中身と器のバランスや関係性について
［扱う話題］×［子どもの抱える力・準備性］
［子どもの状態］×［担当者の準備性］
［子ども・担当者の関係性］×［組織の支援体制］
と言った重層的な掛け算のアセスメントをして、
「＝LSWが実施可能かどうか」を判断している、
ちなみに今回は、その全体的で感覚的な判断プロセスを、表題の「ダビスタ風」に例えて言語化することを試みてみます。ちょっとした遊び心ですが、競馬に興味がない方には、かえって分かりにくい説明になったらスミマセン。
ダビスタとは ＝「ダービースタリオン🏇」のこと。ご存知の方も多いと思いますが、1991年にファミコン版が発売されて以来、25年以上経った今でもシリーズ新作がリリースされる超有名な競馬シュミレーションゲームです。
僕も中学生の頃、スーパーファミコン版「ダビスタ３」にかなりハマり込んでいました。その頃は、三冠馬ナリタブライアンが現役で走っていたり、サンデーサイレンス産駒が日本競馬界を席巻していた時期でダビスタや競馬界が随分盛り上がっていたなぁ、と携帯アプリ版のダビスタが出てきた時は懐かしい気持ちになりました。
ちなみに、こんな感じです。
で、こんな競馬の予想表がLSWにどう例えられるかと言うと、まず予想印。先程の5つの点を、
ア＝アタッチメント
発＝発達障害
忠＝忠誠葛藤（人間関係）
喪＝喪失体験
ト＝トラウマ
として、その健康度や資質やストレングス（強み）を予想印で表すイメージ。大事なことは減点法ではく、加点法で「健康的な部分」があれば良い印をつけていく感じです。
で、出走レースが「LSWの場」だと思ってください。生活場面でも面接セッションでも構いません。単なる例えなので。しいて言えば、レースグレード（新馬→条件→オープン→GⅢ→GⅡ→GⅠ）が上がるほど取り扱う話題の内容がグレードアップして重くなるイメージでしょうか。
例えば、圧倒的1番人気の【10】オルフェーブル
ア発忠喪ト
◎◎◎◎◎
［アタッチメント］は獲得できている、［発達障害］はない、生い立ち上の［忠誠葛藤］もない、［喪失体験］もない、［トラウマ］もない。そんな人はLSWなんて必要なく、普通に過去を感情をともなって語れるでしょ、GⅡくらいの話題なら余裕ですかね、という感じ。
2番人気は微妙ですが、【6】カレンミロティック
ア発忠喪ト
◯▲◯▲▲
［アタッチメント］や［忠誠葛藤］はまぁ普通にOK、［発達障害］そこそこ、［喪失体験］［トラウマ］もそこそこ。わりと社会的養護の子どもで、比較的安定していてLSW実施の検討にあがりやすいタイプかもしれません。［トラウマ］の内容が気掛かりですけど。
そして、おそらく2番人気を分け合っているのは、
【8】ヒルノダムール
ア発忠喪ト
▲◯ ◯◯
［発達障害］はなく、［喪失体験］［トラウマ］の影響も少ない。［アタッチメント］形成はやや。◯が多いので大丈夫そうに見えるですけど、実は［忠誠葛藤］を物凄く抱えている。ずっと同じ家庭で暮らして大きな喪失や被害体験はないけど、実の親子関係が在宅でうまくいっていないケースがこんなイメージですかね。家族内で味方になっていただろう▲の資源を活用しながら、現在の家族関係を調整していく感じでしょうか。
人気が落ちてくると、【9】トウカイパラダイス
ア発忠喪ト
△△
だいぶ使える資質が限られてきましたね。［アタッチメント］そこそこで、［発達障害］もややアリ。誰かに可愛がられたり守られたりした経験はありそうだけど、［トラウマ］［喪失体験］［忠誠葛藤］の影響やダメージが全然ある。穴馬というか、勝算は少なそうな買うには勇気がいる、GⅡ挑戦はちょっと早いかも？という感じ。この内容のLSW実施以前に、まずは現在の忠誠葛藤はないのか、トラウマ症状を服薬で緩和できないか、そんなアプローチかな、と。
最後は、【3】ヒットザターゲット
ア発忠喪ト
△△
う〜ん、苦しいですね。［発達障害］［トラウマ］はそこそこ。そして［アタッチメント］［忠誠葛藤］［喪失体験］の問題が大アリ。イメージ的には、生活場所や養育者が転々として、措置変更も繰り返しているようなケースがこんなイメージですかね。アプローチとしては、まずは現在の養育者との信頼関係、アタッチメント修復に全力を注ぐことから、みたいな感じになろかと思います。
こんな具合に、予想印があるほど個人のストレングスや資質が増えていき、実施後も良い経過イメージが湧いてきます。
そして、ここからは養育環境の話しです。競馬の予想印は「ポテンシャル＋トレーニング＋コンディション」によって左右されるわけですが、競走馬は牧場で産まれて、デビュー前に特定の調教師がいる厩舎に預けるんですね。
厩舎ごとに特徴があって、例えば、仕上げが早く若いうちからビシビシ鍛えてレースに出走させながら育てる厩舎もあれば、じっくり育てながら大事にレースに使うタイプの厩舎もある。また短距離馬育てるのが得意、長距離馬を育てるのが得意といった違いもある。
もちろん、脚元の疲労を考えながら、鍛える育てることとレース間のコンディション調整を、その時の馬の様子を見極めて怪我をしないように同時並行してメニューを組み立てていく。それは調教師だけじゃなくて、実際に馬に乗ってトレーニングをつける調教助手や日常のお世話をする厩務員と話し合いながら進めるチームプレーです。
なのでデビュー前に、その馬の資質（血統）や特性に合わせて、どの厩舎に預けるかというは相性があって結構大事な作業になるわけですが、これは社会的養護が必要な子どもをどの施設どの里親に預けるかの作業と似ていると思うんです。やっぱり子どもと養育者（里親・施設）それぞれに特徴やクセはあるので、お互いうまくハマるかの相性ってありますから。
そして、競走馬は疲労が溜まったら「生まれ故郷」である牧場に放牧します。
そして英気を養ってから、また厩舎に戻ってくるわけですが、これがホッとできるアタッチメント対象のイメージ。本来、慣れ親しんだ地元があって、家族の中でこのような存在がいてエネルギーを養えるのが理想ですが、生活場所を転々としていてLSWを検討するような子どもは身近な家族でこのようなアタッチメント対象がいないことも多いので、そこから作りあげていく支援となる。
なので、支援の順番は、予想印の左から右に向かうイメージ、
ア発忠喪ト
→→→→→
最初の図で言うと、こんなイメージ。
まずはポジティブ体験を増やす作業。安心できる［1対1］の関係を作り、発達特性に合わせた対応や環境調整で［集団］で褒められる体験を増やし、肯定的な対人関係や成功体験を広げていく。その対人関係のやりとりの中で、感情を豊かに表現したり調節する力が育っていく。
そして、環境への安心感や自己肯定感が高まってきた段階に応じて、徐々にネガティブ体験の緩和 に手をつけていく。それは、過去の［忠誠葛藤］［喪失体験］で抱え込んでいた「未完の感情」「心のシコリ」の解放を試みたり、過去の［トラウマ］の「身体感覚」「恐怖反応」の解放を試みる作業です。
この順番イメージはLSWに限らないんですけど、下の図のように、「バイオ・サイコ・ソーシャル」の視点で、
脳の進化・心理社会的な発達・欲求階層を並べて比べて見ても、原則的な順番は「感覚→感情→理性（認知）」で［1対1］→［集団］というのは共通していると思うんです。
なので、ポジティブ体験の積み重ねは生理的・感覚的な根っこの部分から上の方に向かって、
→感覚（アタッチメント・オキシトシン）
→→感情（褒められる体験、自己肯定感）
→→→理性（認知的に「これでいい」自信を強化）
の順番で扱い、逆にネガティブ体験は慎重に枝葉から徐々に根っこに近づいていく感じで、
→理性（心理教育。「心身反応」の頭での理解）
→→感情（悲しい・寂しい、危険でない気持ち）
→→→感覚（痛い・怖い、恐怖体験、身体反応）
こんなイメージ。そして、疲れたりしんどくなったらアタッチメント対象（ホッとできる人や場所）に戻って英気を養う。これは全然新しい内容ではなくて、普段、現場で何気なく支援の中で行われ語られている内容を［理性・感情・感覚］で整理しただけです。
そして、予想印が豊富なほど引っかかりが少なく、この支援プロセスがスムーズだったり手のかかる部分が少なくなるイメージ。順番に完璧◎にならないと次に進まないわけではなくて、大事なことはバランスを整えること。例えば、まずは少なくとも全てに△が付くようにするとか、△→◯にするとか。原因追及・原因除去ではなくて、使える資源・資質を増やしてキャパシティ・抱える器を広げていくイメージ。
このようにアセスメントpoint（点）をつないで、資質を色が付いた「面」や「立体」で捉える感じでしょうか。
どうしても現れが激しい子だと「生育歴に問題がある／ない」の二者択一で評価してしまいがちですけど、生育歴に問題なかったら社会的養護にまで来ていないでしょ（苦笑）と。大事なことは、ハッキリとした境目がないグラデーションや濃淡の程度をどう評価（アセスメント）するのか。
僕は心理職なので、面接・観察・周辺情報と心理検査でそれらを査定するのが仕事だと思っていますが、当然、心理検査や面接といった［非日常場面］で見せる顔、生活の場や学校などの集団の場たいった［日常場面］で見せる顔は違うのは当たり前で、どの情報もその子の全体像を表すパズルピースの一部ですから、自分が直接見て聞いて収集できる以外の情報とのバランスを大切にしているつもりです。
そして競走馬もそうですが、関われる時間と年齢に限りがありますから、限られた時間内でポテンシャルをいかに引き出して、レースの勝率をいかに高めることができるか。しかも競馬は5着までは賞金が出ますから、勝つか負けるかの二者択一ではなくて、結果も段階的に異なり少しでも着順をあげることに意味がある点も、人生的な例えとして面白いなと思います。
そして、最後にLSW実施について。競馬の本番のレースは、当たり前ですが予想通りの結果になるとは限らなくて、そこに大きく影響してくるなのが騎手の存在。一般的には「馬７：騎手３」なんて言われますけど、騎手の大事な役割はレース展開をリアルタイムで判断し、人馬一体となって息を合わせて馬のポテンシャルを最大限に引き出せるか。
デビュー当時から同じ騎手に乗ってもらって特徴を把握してながら信頼関係を深めていくことが理想ですが、もちろん騎手には腕の差がありますので、大事なレースには腕のいい外国人ジョッキーに任せたり、でも人気騎手は依頼も多いので乗り代わりになる可能性もあるわけです。また、この騎手は牝馬に強い、この競馬場ならこの騎手なんて得意分野もあったり、いい意味で騎手の乗り替わりが、その馬の別の一面が引き出すきっかけになったり。
そんな騎手のように、その場の流れを読んで対応したり、その子のポテンシャル（気持ちの言語化）を引き出せるかどうか、どれだけ安心して語れる場を作れるかどうかの手綱引きは、まさにLSW実施の場にいる担当者やファシリテーターの役割と重なるなぁ、と思います。騎手の乗り替わりの話は、施設や児相の担当者が変わることのメリット・デメリットとも似てますし。
そんな感じで僕がただダビスタ好きだからかもしれませんが、［デビュー前の入厩→トレーニング→レース出走→レース後の調整→次のレース］というプロセスと、一頭の競走馬に関わる人たちや想いは、社会的養護の集団養育やチームアプローチはとても重なるイメージを持っています。まぁ、子育ても馬育ても「育て」は共通なので。
今回の話しは、
・アタッチメント
・発達障害
・忠誠葛藤（家族関係、人間関係）
・喪失体験
・トラウマ
って、そもそも何？という方には、分かりにくかったかもしれませんが、これまでのコラムでも触れてきた部分も多いですし、インターネットでもたくさん説明がありますので参照ください。
また別コラムで掘り下げていこうと思います。
ではでは。
【第80回】タイプ別「幼児期記憶の語りと再構成」
メンバーの皆さま
おはようございます。管理人です。
今日は、担当児童の入学式に出るため「スーツ＆ネクタイ」
いつも「ノーネクタイ・ノージャケット」でいることが多いので、
そんな初心の大切さ、
幼児期記憶を再構成する語りの一分析例
ー記憶イメージと感情体験を探る一
（林 2005）
この研究の目的を要約すると、
・これまで自伝的記憶の一部とされてきた「幼児期記憶」
というもの。表現こそ違うものの、
では、さっそく。
考察1）幼児期記憶の語り分析から
〜研究では、幼児期記憶について語ることで生じ
3群とは、
①知的理解群、②感情表現群、③象徴化表現群。
なるほど。確かに、過去の記憶を「客観的に・知的に」
それは、あいまい喪失で触れた「未完の感情」
ちなみに、この3分類は、
■記憶想起のパターン4類型 (林，2004）
①知的な理解の優位な群
ー感情表現も見られるが、知的な理解が先行し、
②直接的な感情表現群
ー感情語を用いてストレートに表現する
③感情の言語化が困難な群
ー何らかの感情を体験していると思われるが，言語で
④記憶想起の困難な群
ー記憶の正確さにこだわる、記憶のなさについて語る
などの先行研究を参考にしたという事ですが、この研究調査では④
興味深いですね。
これこそ措置変更を重ねたり生活環境を転々する社会的養護の子と
〜その結果、感情表現群が知的理解群・
まぁ、そういうことで、この辺はLSW臨床の感覚と一致します。
それは、愛着・トラウマ・グリーフ・発達凸凹・
さらに、
〜知的理解群は、記憶の鮮明さや映像の面では記憶の質が
まぁ、そういうことなんだと思います。
でも、
〜あたかも「今ここで」
なんて＂フラッシュバック＂ですものね。
〜知的な理解は，生々しい記憶に巻き込まれず
という記述は、乖離とまでは言わないまでも「認知ー感情」
そういう意味では、
は、記憶と感情が一致して語れているというか、「認知ー感情」
なのでLSWでも過去を大人から一方的に伝えるだけではなくて、
〜さらに、象徴化表現群の擬態語使用が功を奏しないという、
この辺りは、トラウマとグリーフの扱いの違い（＝
やはり大事なことは、LSW実施前にその人の状態・
考察2）再構成する幼児期
〜青年期にある者から想起した幼児の姿としては、自己中心性 、大人びた子ども像 、人見知りす る子どもが特徴であるとの結果を得た。これは、
これは言葉変えると「アタッチメント（分離ー個体化）」
この春から新生活を送っている学生や新社会人も多いと思いますが
しかし、社会的養護に関わる子どもも保護者も「自分が望まない」
その葛藤する気持ち、自分の中のポジティブ・
〜また、両親や家庭が記憶物語に登場しないケースや、
〜しかし、わがままで怖いもの知らずだった自分、
なので、結局のところ、
そして、そのような他者への基本的信頼感が薄い人は、
結局LSWでも違うアプローチでも、われわれ支援者は、
考察3）今後の検討課題および臨床場面との接点
〜記憶とは現在の気分や心理状態を反映するものであり、
まさにこれは、LSWにおける「現在」の支援の話で、
〜また、今回は記憶イメージと感情体験の変化を主に扱ったが
〜今回の結果はあくまで一般大学生で行ったものであって、
この論文は2005年の13年前のものですから、
現在ではLSWの認識が広まったことで、
ちなみに、僕は過去の情報や心理検査から、
詳しくは別コラムでじっくり書きますが、簡単にまとめると、
【アタッチメント（愛着）】
ただし、
また【忠誠葛藤】
そんなこんなで、感情を豊かに表現したり、
そして、最後にはやっぱりコレ。
〜その際に、援助者の側に焦点を当てることも、
鋭い指摘ですよね。
これは他人事ではなくて、この論文で扱われている内容は、
しかし、
また成人になると愛着の対象は親から別の人（恋人・
やっぱり相談者の苦しみを一緒に抱えるのは、
だからこそ、支援者も支えてくれる人が必要で、
〜こころの糧はその個人の子ども時代と深い関連を持ち、子ど
本当にそう思います。
もちろん支援者にも、それぞれの過去があり、
だから、そう言った自分の人生経験を、どのように解釈し、
LSWに限らず、
やっぱり、なんの苦労も経験していない人の言葉より、
そして、その軽さや重みの違いは、
もしかしたら、LSWにおける支援者の＂覚悟＂とは、
そのようなことを言うのかもしれませんね。
ではでは。
【第79回】LSWと「ソリューション・フォーカスト・アプローチ」
こんにちは。管理人です。
新年度のスタートです。皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
昭和世代の人間からすると、今後、
新年度最初のコラムは、そんなように不安が募り、
それは、
『ソリューション・フォーカスト・アプローチ』
英語だとSolution Fouced Approach（SFA）。
1978年にミルウォーキーに設立されたBFTC(Brief Family Therapy Center)で開発された短期療法（ブリーフセラピー）
日本語では「解決志向アプローチ」と呼ばれているもので、
Wikipediaの説明を借りると、
という特徴があって、僕はこのSFAの考え方や質問の仕方は、
実は以前【第25回】あいまいな喪失とトラウマから回復⑨htt
で紹介されている質問や考え方、
まず「解決志向アプローチ」を辞書的に整理からすると、
【解決】
- 問題のある事柄や、ごたごたした事件などを、
うまく処理すること。また、かたづくこと。「紛争を解決する」 - 疑問のあるところを解きほぐして、納得のいくようにすること。
また、納得のいくようになること。「疑問が解決する」
【志向】
考えや気持ちがある方向を目指すこと。
ちなみに、
・【指向】も志向とほぼ同義で使われるますが、志向の方がより「
・【思考】考えること。
とあります。なので「解決志向」を噛み砕くと、「問題や疑問がうまく処理されたり納得のいく状態に考えや気持ちが向いて目指すこと」なんて感じでしょうか。
当たり前と言えば当たり前のことなんですが、注目すべきは【解決】の説明の中に「原因」
そうなんです。問題解決＝
もちろん原因を特定して取り除くアプローチが有効な場合もありま
しかし、
じゃあ、原因が特定せずに何をサポートするのか？
それは【第18回】「cure」と「care」の違いhttp:
で触れたcare［ケア］の部分かと思います。人生や生活全体を見て、
なので僕の中でケアやSFAに共通するイメージは、相談者の自分自身をケアする力を引き出す（
例えば、頭の中が「問題」でいっぱいの相談者がいるとします。
だけど、それまで何とか人生やってきたわけですから、
しかし、「いま」に余裕がなくなると…。
ですよね。問題が無い状態は「当たりまえ」。
僕はこれまで相談の中で幾度となく、
「この子が私を苦しめる」「この子さなければ」
という台詞を聞いてきました。
よく親なんだから「もっとこうして」「我慢して」
だって、子育てシンドイですもん。身体は疲弊しきって、
そして、そんな余裕のない状態で「今後どうしていきたいですか？
そりゃ、明るい未来なんて想像できないし、この先だって上手くいきっこないと思いますよね。
なので、まずは大変な話しを共感的に聞いて、「
そして、そう言った「いま」
例えば、
そして、意識からは逸れているけど、もっと長いスパンで見たら「
そんな「例外さがし」
視野を広く、頭の中の柔軟性を高めるイメージ。「問題問題問題」
そして【志向】が「過去ー現在ー未来」の横軸と「プラス・
そうやって「現在」も「過去」
当然、相談はじめに持っている【志向】
『【第19回】ジンバルド時間志向テスト』
でも扱っていますので参考にしてください。
そして、そのバランスを整えたり［過去ー現在ー未来］［
それは今までの慣れたモノの見方から、
そのプロセスを最近ニュースが多い野球で例えると、
なので、
凝り固まった「思考」「志向」にも、
そしてトラウマ症状が出ている人は、炎症を起こしているので、
また喪失体験が放置されている人は「未完の感情」
という感じで、それぞれの状態によって【志向】や【思考】
また「人生、山あり谷あり」といっても、
確かに似たような［悩み］を抱えていても、
さらにLSWを検討する子どもというのは、
もちろん家庭で暮らせない原因・
そんな情報収集からLSWは始まりますが、
それは、SFAの「原因の追究をせず、
LSW後の支援者が期待する子どものイメージ
「将来に向かって前向きになれること」
と重っていると思うから。
よくLSWについて、こんな質問を受けます。
「どんな情報を集めたら良いですか？」
「どこから整理をしたらいいんですか？」
「親の事をどう伝えたらいいんですか？」
その時の僕の応答はだいたい同じ気がします。
「本人は何を知りたいと思っているの？」
「知ることで子どもにどうなって欲しいの？」
そして、子どもの想い・大人の想い、
でも、
なので、まずは相談者が落ち着いて話せること、
他人から気持ちや存在を大切にされて、
そして、そういう自分自身の感覚や気持ちの尊重があって、
虐待の世代間連鎖、支配ー被支配と言った悪い意味で「
その良い関係性とは、自分の気持ちも相手の気持ちも大切にする「
なので「親だから」「お兄ちゃんだから」「支援者だから」何でも受け入れなさい我慢しなさいという関係は、
なので、支援者もセルフケアが必要だし、
そんな家族関係や機関連携の話も、家族・チーム全体の「
LSWが「特定のプログラム」でない理由は、
元々のバランスが違えば、支援やアプローチの仕方も当然異なるから。
そういったアプローチや考え方のヒントになりそうなトピックを、
でも、どんな支援でも共通することは、
「答えのないことだから、一緒に考える姿勢」
「落ち着いて・安心して・協働して」
このような体験の連鎖を提供する関わりなんだろうな、
この「まごのてblog」がそんなLSWについて考えるプロセスの手助けになれば幸いです。
ということで、今年度もお付き合いよろしくお願いします。
ではでは。
【第78回】「育成の可視化」で見えた"日本的"組織の課題
メンバーの皆さま
こんにちは。管理人です。
いよいよ今年6月に行われるサッカーW杯ロシア大会まであと3ヶ
「敵を欺くには、まず味方から」と言いますが、
確かに、海外クラブに所属する日本人選手は増えましたが、
実力的には出場国ほとんどが日本より格上ですから、
果たして。
まぁ監督目線で考えれば、
実際に、
「ベントゥーラが持っていたのは（高度に）
同じサッカーと言えども、クラブにはクラブの、
今回コラムは、そんな個を育てる「育成システム」
村井チェアマンが語る育成の可視化
『フットパス』で見えたJの現在地
https://www.footballista.jp/
まず記事で紹介されているのが前回2014年W杯ブラジル大会の
その仕組みの中で育成された「フットパス申し子」たちが、
以下は村井チェアマンのインタビューの一部。
〜「フィジカルで戦うチームというイメージだったドイツが、
――ドイツでは育成年代から「考える力」
「考える力、自分で判断する力、
足元の技術だけでなく『自分で考える力、自分で判断する力、
現代サッカーにおける判断スピードの重要性は、以前に【
で「脳内インテンシティ」というトピックで扱いましたが、
日本のシステムが個人の「考える力」や「判断する力」の育成することについては、
これは果たして、Jリーグクラブに限られた話しでしょうか。
話を続けます。
で、
・各クラブから提出された資料
・訪問してのヒアリング
・練習や試合の分析
を通じてクラブの「フィロソフィー」「カリキュラム」「
クラブへの質問項目は300件くらいあって「とにかく細かい」
評価基準の明確化と客観化ですよね。
どうやら評価と聞くと「出来ないことを責められる」「
声をかけられるとには注意される時、怒られる時。「
そんな思考パターンが染み付いたような、
第三者評価は「受験本番」ではなく謂わば「模試」ですから、
で、「日本の評価は？」というのが次の記事。
Jクラブのアカデミーを世界基準で査定すると？ 育成評価システム「フットパス」が指摘した"日本的"組織の問題
フットパスが指摘した日本的組織の問題とは、
「属人的な指導」と「指導者の育成計画」。
つまり、指導者個人に委ねられる裁量の幅が大きく
ー「
ー「
の共有が曖昧であると。
チームの哲学（フィロソフィー）や方向性（ビジョン）
まさに、サッカー日本代表が陥っているのがこんな感じですよね。
しかし、これもサッカーに限った話しでしょうか。
よくあるのは私立強豪校は、
個人に頼った組織運営です。
しかし、組織の哲学を共有した複数の目が入ることで「
あれ？
これは「多職種・多機関連携」
このようにフットパスで指摘されている状況は決してサッカーに限
逆に言えば、日本人は「気が効き過ぎる」ので、
こんな危うい組織で、
フットパスが指摘する、
ー「組織としてどういうチームを目指すのか」
ー「どういう人材を育てたいのか」
ー その共有が曖昧。
言葉を少し変えれば、日本の多くの組織や多機関連携、
さらに、
つまり「個別の育成計画」です。
〜Aという選手がいたときに彼個人のどこをどう強化し、
〜全クラブの平均で最低評価が「個の育成」
いかにも日本的な組織の「
そして「IDPがない」と指摘されたのは選手の育成だけでなく、
〜その指導者はどういう部分に強みがあって何を苦手としていて、
逆に言えば、
この情報は斬新でした。
もうすぐ新年度が始まりますが、
さすがに、これに異論はないと思いますし、
がしかし、これが明文化されていたり形に残っていなければ、
また新人の個別育成計画はあったとしても、
これこそ組織のフィロソフィーやビジョン
ー「組織としてどういうチームを目指すのか」
ー「どういう人材を育てたいのか」
の共有が不可欠ですよね。その大枠が示された中で、
でも村井チェアマンが、
「育成の課題にいち早く気づいた勘のいいJクラブは、
と言うように、
例えば、
「乳児院における小規模化あり方検討委員会」の報告書（H26.
このように理念に基づいた組織運営の必要性が掲げられていますし
「初任職員にむけた研修小冊子 ~乳児院の養育を担うスタートをきるために~」より
成長に必要な項目も分かりやすしい、
しかし、『フットパス』はこのような組織理念や人材育成の体系の有無は言うま
いったい児童福祉分野の組織が、
＂キングカズ＂というレジェンドはバリバリの現役ですが、多くのJリーグ初代の選手は引退
組織的な発展や成熟は、まだまだこれからと言うことですかね。まぁ人材確保の観点でいうと、Jリーグと児童福祉は雲泥の差がある気がしますが、街クラブが各地に散らばっている点も似ているし、結局は各クラブの運営努力なしには組織の発展はないと思います。
ー『自分で考える力、自分で判断する力、
いま児童福祉ではしきりに「専門性の向上」と叫ばれていますが、
確かにサッカーでいう足元の技術も大事ですが、それ以上に「
そして、それら「個」を伸ばす「組織」の発展・成長も同時に考えていかなければいけない。
そう思うと現場に求められている力も、人材育成の課題も、
各コラムで海外のやり方をそのまま輸入して「考えなし」
ではでは。
【第77回】人生のバランスを整える仕事
メンバーの皆さま
こんにちは。管理人です。
いよいよ今年度も今週で終わりです。早いですね。
来年度に向けた準備で、
そして「まごのてblog」も気がつけば【第77回】。
次にラッキーセブンが並ぶには、あと700回更新が必要ですから…何年後ですかね。
こんなくだらない事を言うような、全体的に落ち着かずフワフワし
そんな感じも春らしいなぁ、と。
で、今回はアメリカの大学スポーツの記事からの話なのですが、
その理由は、この2人の存在。
渡邊 雄太（わたなべ ゆうた、22歳、206cm）
八村塁（はちむら るい、20歳、203cm）
2人ともこのサイズでありながら身体能力も高く、
現在、渡邊 雄太はジョージ・ワシントン大の4年。
ちなみに、ジョージ・ワシントン大は2016年8月に来日し、
【参考】
そして、八村塁の活躍とポテンシャルはさらに上をいっています。
ベナン人（父）と日本人（母）のハーフである八村は、
そんな2人に当然メディアや国民の期待が膨らむものですが、
確かに、英語もわからず文化も違う異国の地での生活は、
競技でのハイパフォーマンスを維持し続けるには、
前置きが長くなりましたが、今回コラムはこのような選手への「
そして、この4月から新しい職場に異動する方も、新任さんを受け入れる先輩たちにも、是非ぜひ気にかけて欲しい内容です。
米スポーツ界とメンタルセラピー。
恋人と別れる時期が競技成績に影響？
この記事は「プロチーム、五輪代表チーム、
スポーツ大国アメリカの4大スポーツ(NBA、MLB、NFL、
ご存知の方も多いと思いますが、アメリカだけでなく、
メンタルコーチとは、どんな仕事なのか？
その点、
「人生というのはバランスによって成り立っていて、
これは決してトップアスリートに限った話ではないですよね。
そしてセラピストの仕事は「人生のバランスを整える仕事」だと、
なるほど。
僕はLSWに関わる児童福祉の心理職として10年働いていますが
自分の普段の仕事について、一般の人にもこのように説明すれば、
そして、
〜学生の悩みは多岐にわたる。
こんな状態って、
しかし日本の部活だと「メンタルが弱い」→「根性が足りない」→
児童福祉に携わる人なら、いやいや学校の先生でも、
そして、社会的養護の子どものモヤモヤのうちの１つに「
しかし「子どもだから」とろくな説明もされず、
〜「あるバスケットの選手は、
〜「五輪の年に、新しいことへの挑戦は基本的に勧めません。
人生のバランスとは、こういう事ですよね。
僕はこれが「見立て」であって、
そして、その延長線上の支援の選択肢１つとして「LSW」
そして、
〜「もしどうしても変えなければならない部分があるなら、
LSWも似たようなことだと思うんですよね。
場合によっては、あえて今はステイ。
「人生のバランスを整える仕事」ですから、当然大事なことは、
前置きでも触れましたが、生活環境や家族関係、友人関係、
「安全第一」と言いながら、
社会的養護（里親・施設）関係者は、
そして、これは児童福祉関係者だけでなく、阪神・中越・東日本・
もちろん話した時には理解を示してくれる方も多いのですが、
自分自身に安全安心の感覚や適切なバランス感覚がない人が、人に安心感を与えたり、他人の人生のバランスを整える仕事が出来るとは、僕には思えません。
人に安心感を与える仕事をするのなら、まず自分自身、そして自分の仲間に安心感を与えたり維持すること、つまりは自分自身を大切にすることの重要性がもっともっと強調されていいと、僕は思います。
こう言う話をすると、どうも［自己犠牲的な考え方］と［自己中心的な考え方］のどちらかに極端に振り切ってしまう人が少なくないよなぁ、と感じることがあります。
最近なんだか社会全体が色々と窮屈で寛容性が乏しくなりつつある
人生のバランスを整える仕事。
来年度も継続します。
ではでは。
【第76回】シリーズ人体と「メッセージ物質」
メンバーの皆さま
こんにちは。管理人です。
静岡では桜もだいぶ咲いてきました。
この時期は、担当の子の卒業や自立に立ち会う機会が多くて、
僕は来年度で児相在籍10年目になるのですが、
そして、ようやく観ました。
シリーズ全体を通してのキーワードは「メッセージ物質」で、気持ち面だけでなく内容も非常に面白かったので、忘れないうちに感想を綴ります。
まず印象的だったのは、シリーズを紹介するエピローグ「
これまでの医学では、
例えば「疲れた」「水分が足りない」「食べ過ぎだ」
俺は一番低い位置にいるし、脳は高い所から偉そうに支持するし、
タモリは「シュール過ぎるかなと思ってやめた」
あれ？
聞き覚えのある話し…。
この話ややりとりをTVで観ていて、
当ブログ読者の方ならピンと来たかもしれません。「
勉強会で体験して、LSWの場で連鎖的に起こって欲しい現象、
そして連想的に頭に浮かんだものは、
『【第18回】「cure」と「care」の違い』
で扱ったhealのイメージ。
〜【healing】「ヒーリング」
と、その時は書いたのですが、
これは、あくまで僕の連想とイメージですけど。
それと、今回放送の
“生命誕生”見えた！母と子 ミクロの会話
で印象に残った話を２つ。
ひとつは、受精卵が子宮に着床すると「ここにいるよ！」
受精卵の段階から「母と子の会話」は始まっているんだと。「
これは愛着（アタッチメント）形成にとても重なるなぁ、と。
簡単に言えば、言葉にならない鳴き声一つで、
受精直後から非言語の発信と応答はすでに始まっている、
もう一つは、各臓器の作られ方について。
そして、この＂ドミノ式全自動プログラム＂
注目は山中教授の「
メッセージの「密度」と「タイミング」が少しでもズレると、
もちろん「LSW」でも、その重要性は変わりません。
改めて思うことは、個の「人体」
結局、人の集まりを「一つの集合体・生命体」として見れば、
何となくは思っていたし考えていた事ではありますが、
まだ最終回は残っていますけど「シリーズ 人体」を通して、
ではでは。
【第75回】ソーシャルワークの新定義と「地域の知」
メンバーの皆さま
こんにちは。管理人です。
前回紹介した「シリーズ 人体」なんですが、放送時間が息子の寝かしつけの時間と重なり、さらに「
もちろん再放送の録画はしたので、
妻の実家が気仙沼なんで「season Ⅰ」の時から「あれ？ホヤぼーや？」と思っていたんです。どうやら調べてみたら気仙沼でロケをした堤監督や木村監督が気仙沼を
【参考】なぜこんなにホヤぼーやが？にお答えします
僕も何かのお祝いやお返しなどには、気仙沼の商品を使って微力ながら復興の
今回コラムはそんな「地域を大切にして応援する気持ちが大事」
そして今回紹介するのは、この論文。
「IFSW ソーシャルワーク定義にみる世界情勢」
（松山、2015)
新しい『ソーシャルワークのグローバル定義』
前回採択が2000 年なので14 年ぶりの改訂だそう。ちなみに、
で、この論文の目的は、
「ソーシャルワークの新定義の特徴と、
なんですが、これがなかなか面白くて鋭いんです。
まず面白い点とは、その言葉選び・言葉遣いへのこだわりっぷり。
「新旧定義とも、定義本文について注釈が書かれ、一つ一つの言
そこに込められた本質的な在り方（＝Being）
例えば、新定義では定義の本文中重要な部分を、
（旧）「解説」→（新）「中核となる任務」
確かに読み手の視点に立てば、「解説」と「中核となる任務」
これが「伝える」と「伝わる」の差だと思うんです。
LSWに限らず、対人援助に限らず、
新『ソーシャルワークのグローバル定義』には、
他には「ソーシャルワークの目的」についての変更。
その変更
（旧）「well-being 」→（新）「wellbeing」
とウェルビーイングが一つの単語になっている事。
その意図については、
〜そこでは「福利」と訳されていた。「wellfair 福祉」とは異なる概念であることが強調されていたと考える。
〜ここでは、健康などの身体的状態や精神的、経済的状態が
執筆者の推測になっているので、
このようなマニアックな所に光を当てて、
その他の注目内容としては、
〜ソーシャルワークが「実践に基づく」もので
と前置きがあって、
〜定義本文に原理として書かれた「人権」「社会正義」「
〜「人権」は重要な概念ではあるが、「人々がお互い同士、
と解説されている点。確かに、人権・権利・多様性・
このあたりは本当に鋭いですし、
そして、
注釈において、2000 年旧定義では「理論」であったものが新定義では「知(k
その理由は、新定義の中で、
つまり一般的な「理論」とは西洋の考えであって、
で、どうやら論文を読み進めると、2000 年のソーシャルワーク定義が採択された際に、
改めて、数百年前の植民地支配の文化的影響は根が深いんだなぁ、
もしかしたら、
この構図は、僕が働く児童福祉の現場とよく似ている気がします。
この論文を読んだ時に、
なので、当事者国の声から、
〜世界の国々は、少なくともソーシャルワークの分野においては、
という動きになって、
そして、そこに至るまでには、当事者による歴史・
歴史が長ければ長いほど、
そして、
それは相手の歴史や価値観、地域の知を尊重した話し合い、
そういうことが、
〜旧本文の「人間関係における問題解決を図り」
の中にある「社会開発・社会的結束の促進」
で、ここまでは『新グローバル定義』の鋭さについてですが、
それは日本について。
〜だからといって、アメリカ ・ イギリス以外の国にソーシャルワークは無かったはずはない。
というように、
僕は社会福祉士の資格を取っていないのでソーシャルワークの教育
そして僕は運良くカナダ・
この一部の地域の取り組みに偏って倣うことに、
そして、
〜さらに、日本においてソーシャルワークはど
と著者も主張しているように、日本が積み重ねてきた良さ・
日本は◯◯年遅れている。なので、米英に早く追いつかなくては。
もちろん、そういう側面があることは認めますが、米には米の、
そういう意味では、正直、現在の日本は、
新定義で、
〜この定義は、世界のどの地域・国・区域の先住民たちも、
とハッキリと明文化されていることに加えて、
著者も、
〜日本のソーシャルワーカーたちが現場で
「ソーシャルワークとはそもそも」
ということ知らずして、協働・連携はありえないと僕は思っています。
まぁ『ソーシャルワークのグローバル定義』では、
〜旧本文の「人間関係における問題解決を図り」
だから日本ではソーシャワーカーの仕事がもっと評価されるべきだ
今の日本に必要だし実際に現場のニーズとして高いのは、各機関や資源をつないでコーディネートしてくれる人だと感じますし、それはまさにソーシャルワークの部分。
そう思うと真の意味でのLSW普及って、「連携」や「ソーシャルワーク」の概念の普及から始めないと行けないのでは、それはもう果てしない道のりのように最近感じてしまいます。
だけど出来ることは「地域の知」
と自分に言い聞かせるような今回コラムでした。
ではでは。
