LSWのちょっとかゆいところに手が届く「まごのてblog」

静岡LSW勉強会の管理人によるコラム集

【第116回】「トラウマと身体」の目次

メンバーの皆さま

おつかれさまです。管理人です。

前回、目次のページ表記だけ紹介した

『トラウマと身体』

 表紙はこんな感じ。

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全470ページ。
もう厚さ大きさは大学入試の「赤本」そのもの。
5年分の過去問がぎっしり詰まったアレのよう。

サンブンノイチほど読み終えたのですが、もうはじめの方は内容忘れそう(汗)

なので、現時点で打ち止め。とりあえず、ここまでで感じたことを残させてください。



今回は、まず目次を眺めながら導入です。



●目次
原著者から日本の読者の皆様へ  v
監訳者によるるまえがき  viii
シリーズ編集者によるはしがき  xiii
はしがき  xviii
はじめに  xxxv

ーーーー第Ⅰ部 理論ーーーー

第1章 階層的情報処理:認知、情動、感覚運動の3階層
・三位一体の脳
・情報処理レベルと身体
     認知処理/情動処理/感覚運動処理
などなど

第2章 耐性領域:覚醒の調整能力
・多重迷走神経階層(←ポリヴェーガル理論です)
・覚醒状態と耐性領域へのトラウマの影響
・解離と覚醒領域
などなど

第3章 愛着:二者間の相互調整における身体の役割
・愛着パターンと身体
・愛着パターンと自己調整
・センサリーモーター(感覚運動)セラピー
    不安定-回避型愛着の治療
    不安定-アンビバレント型愛着の治療
    無秩序-無方向性型愛着の治療
などなど

第4章 定位反応:何かに注意を向ける意識のはたらき
・見える方向づけ、見えない方向づけ
・方向づけと注意に対する信念の影響
・定位傾向、注意、および未解決のトラウマ
などなど

第5章 防衛サブシステム
     :動きをともなう反応と固まる反応
・防衛反応の構成要素
       関係性による防衛戦略:社会的関わりと愛着
       /動きをともなう防衛/固まることによる防衛
・防衛反応の段階
・未完了な、あるいは効果のない防衛反応
などなど

第6章 適応:行動システムと行動傾向の役割
・8つの行動システム
・行動システム間の階層的相互作用
・行動システムと行動傾向と身体
・行動システムと解離
などなど

第7章 トラウマと脳:神経生物学的治療モデルに向けて
・トラウマ、情報処理レベル、および三位一体の脳
・トラウマの大脳の左右機能分化
・情動と皮質下プロセス(情報処理)の重要性
などなど


ーーーー第Ⅱ部 治療ーーーー

第8章 治療の原理:理論を実践の場へ

第9章 体験の組織化:現在の身体にはたらきかける技法

第10章 治療の第1段階
    :安定化のためのソマティック・リソースの育成

第11章 治療の第2段階
    :トラウマ記憶の処理と成功・克服行動の回復

第12章 治療の第3段階:統合とよりよい日常生活

エピローグ:悲劇から成功と克服へ

訳者あとがき
索引



●コメント

あー!

目次を写すだけで疲れた。


章以下は「などなど」とか言って項目省いてこの長さですからね。

治療編なんか項目を書く気も失せましたよ(苦笑)

まだ読んでないし。

第Ⅱ部の目次は、読み終わってから改めて紹介します。

きっと。



まず、目次をサッと見ての率直な感想は、

「一つの章ごとで、本1冊になる内容じゃん…」

内容濃すぎです。


まだ僕は身体志向の心理療法に興味があって、本や研修で読み聞いているので、

「あー、あの話しかな」

なんて察しがつきますけど、全く馴染みのない人にとっては、「神経とか脳とか、もう無理!」って、もう読む気がなくなる人も少なくないと思います。


本の出版は2012年なんですが、10年前の僕なら目次を見ただけで、「もう意味わからん、レベチ(=レベルが違う)」と、たぶん本閉じてます。

前回コラムで長々と書きましたが、目次ページを見つけるだけでも結構苦労しますしね。


しかし、もしこのblogを初期からお読みいただいている方の中には、ピンときている人もいるかもしれません。

そう、何度かblogでも取り上げている


認知ー感情ー身体


のつながりの話しです。基本的には。

まだ「各章のまとめ」と「第5章までの全文」を読んだだけですが、概ねこの理解で大丈夫だと思います。


トラウマは身体(神経、脳)に影響を与える。身体の状態は認知や感情に影響を与える。

つまり、トラウマ体験が要因となって怒りっぽかったり、無気力になっている人は、そうなりやすい認知や感情を引き起こしている身体感覚にアプローチしていく必要があるということ。

そうすると、

〉今の生活において、反応の方法(認知的、情動的、身体的に)や、将来を心に描く方法も変容させます。


おや、LSWっぽい内容じゃないですか。

気になりません?

トラウマによる身体反応にアプローチして、自分の身体感覚をコントロールできる感じを習得していくと、将来展望の仕方が変わってくるなんて。



一応ですね、『はじめに』のなかに、


本書は主としてトラウマ被害の個人療法を実施している心理学者、精神科医ソーシャルワーカー、セラピスト、カウンセラー、家庭医に向けて書かれたものです。

〉加えて、私たちはトラウマ関連障害の持続と解決の両方に、身体がどのように関連しているかを理解する実践家向けのガイドラインを提供します。

〉これかはおそらく精神科の看護士、作業訓練士、リハビリテーションワーカー、危機介入ワーカー、被害者の法定代理人、災害救助に携わる人、ボディセラピスト、精神医療領域の大学院生やインターンにとっても価値のあるものでしょう。


とありまして、つまり、虐待を受けた人に関わるすべての支援者に役立つ内容です、とのことだと思いますので、是非ぜひ今後もお付き合いください。


なるべくわかりやすく、10年前の僕でも理解できそうな感じで内容を噛み砕いて紹介していきますので。


今回はとりあえずここまで。


ではでは。