【第117回】感情の円環モデル
こんにちは。管理人です。
前回コラムで、トラウマは
「認知ー感情ー身体」のつながり
の身体に影響を与えるので、トラウマ治療は言葉で体験を語る認知的アプローチではなくて、まず身体反応にアプローチしていく必要がある、という内容の本を読んでいます、という紹介をしました。
ただ、いきなりトラウマの話にズンズン入っていくと、小難しいが話が続く可能性があるので、少しライトな話題を挟んでいこうと思います。
今回取り上げる話題はコレ
「感情を読むロボット」が実現した理由 カギは「心のモデル化」だ!
詳しくは記事を読んでいただければと思いますけど、「心のモデル化」が今回の表題「感情の円環モデル」という事です。
図を拝借すると、こんな感じ。
横軸の「不快ー快」と縦軸の「覚醒の状態」の組み合わせによって、感情が分かれていくというもの。
そして、「不快ー快」は心拍と脈拍の状態を測定、「覚醒水準」は脳波を測定することで、把握することが可能とのこと。
つまり、身体の状態をデータ測定することによって、AIが人間の感情を把握。相手の感情に合わせた会話をディープラーニングという自動学習システムで、AIがどんどんコミュニケーションを向上させていくらしいです。
ヤバくないですか⁉︎
AIの技術はここまで来たかと。将棋とかチェスなんかは人間よりAIの方が強くなってきていますが、面接も人間よりAIの方が上手な時代が、そんなに遠くない未来に来るかも知れません。
えー、ホントに身体の状態で感情がわかるの? と思ったそこのあなた。
是非、記事のページにある動画を見てみてください。理論の説明と検証実験について説明がされています。
例えば、バスの運転手に同じコースを4周運転してもらう実験では、一周するとすぐに、
「不快」×「眠気」=『退屈』
と判断できる心拍状態と脳波が繰り返し測定されたにも関わらず、ラスト一周の残り半分を超えたところで突如『退屈』状態が消失。
代わりに計測されたのは、
「快」×「覚醒」=『喜び』
と判断できる状態。つまり、「やったー、もうすぐ終わる!」という感情が身体反応として現れた、と。
いやー、これはスゴい。
現在は、スーパーのカートみたいなやつを押すと、その持つ手からの状態測定で、
「疲れてきましたね。もう少しですがんばりましょう」
とか
「嬉しいですね。今後もよろしくお願いします」
とか、相手の状態に合わせた声かけをしてくれるロボットが現に存在しているとのこと。
で、今回のコラムで紹介したかったのは、身体と感情って、すごーくリンクしていて、これは心理学以外の分野でも広がっていているということ。
【参考】
五感や無意識の心理に訴えかければ、消費者の行動は変えられる。ーー守口剛さんに聞く、効果的なプロモーションとは(後編)
さらには、「身体化認知」といって、身体状態が認知傾向に影響を与えることをマーケティングに応用されているそう。比較的新しい研究分野みたいですね。
【参考】
五感や無意識の心理に訴えかければ、消費者の行動は変えられる。ーー守口剛さんに聞く、効果的なプロモーションとは(前編)
心理学ミュージアム:
"体"を温めると"心"も温まる 〜身体化認知〜
今後、トラウマの「認知ー感情ー身体」のつながりに与える影響を扱っていく上で「覚醒水準」はとっても重要なポイントになるので、今回はその導入としての紹介でした。
ちなみに、『身体感覚』は、感情分化の発達段階の理解としても、精神病理的に「自分の感情を識別できない」という状態を理解するにも注目されているみたいです。
次回は、感情理解と身体感覚のつながりについて、さらに深掘っていきますね。
ではでは。